運用における「時間」
前回記事に引き続き「敗者のゲーム」より考察。
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今回は、運用における「時間」の考え方について。 著者は、資産運用において「時間」がとても重要であるとしています。
その理由について 「平均収益率自体は時間によって少しも変わるものではないが、その平均収益率の周りに分布し、現実の収益率が発生する範囲は、時間の影響を大きく受けるから」 と記述されています。
上記については、例えば①リーマンショックの発生した1年に期間を限定した場合と、②株式市場が登場してから現在までの期間の株価の推移を見れば違いがよく分かります。 100年に一度と言われたリーマンショックの動きですら、長期の株価推移の中では、そこまで影響を及ぼすものではないのです。
つまり、「時間」は運用というものを、良くも悪くもまったく様変わりさせるものなのです。
では、どれくらいの投資期間を設ければ良いのか?
著者は、運用期間が長いほど、ポートフォリオ全体の実際の収益率は平均収益率に近づくとした上で、投資期間別に過去のデータをもとに説明しています。
なるほど、長期で持てば平均収益率に近づく。
これは逆に言うと、平均収益が右肩上がりでなければ、資産は緩やかに減少していくことになるわけですね。
しかし、現在世界株式の時価総額は、リーマンショックなどの大きな金融危機を経験しつつも、右肩上がりの傾向です。 世界人口も2050年頃までは増加予定ですし、もうしばらくは、世界経済について安心して長期投資できそうですね。
この、「株式市場は長期で考えれば右肩上がり」ということがとても大切な大前提となるわけですよね。
「では、いつか世界株式にも頭打ちの時がくるのか?」
こればっかりは誰にも分かりません。 いずれ、世界人口においても少子高齢化の波が押し寄せるかもしれない。既に「経済のニューノーマル」なんて議論も最近は話題ですね。
ただ、「今」生きている私達にとっては、資産形成する上で、市場の力を借りることは理に適っていると思います。 それは、先に述べたように、もうしばらくは世界経済の成長が見込めそうだからです。
ただし、今90歳の方に、「運用すべき」というのは、それは全く見当違いなことであるように、あくまでこれからの投資期間を考えて運用ポートフォリオを策定すべきですね。
人生100年時代が叫ばれる中、資産運用についてもしっかりとした「運用方針」が大事、というわけですね。
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