ツールとしてのお金
備忘録④
「お金2.0」佐藤航陽氏(株式会社メタップス代表取締役社長)著
資本主義から「価値主義」へ
著者が本書の中で述べられている主張です。
資本主義で大切なことは資本を最大化すること、つまり「お金を増やすこと」を追求すること。
では、価値主義とは?
本書の中ではインスタグラムやフェイスブック、グーグル、そしてYouTuberを例にとり、資本ではなく「価値」が重要であることを説明しています。
例えばYouTuberについては、個人資産よりも、ファンやチャネル登録者が価値となる、と記述されています。彼らにとっては、動画を見てくれるファンの人たちからの「興味、関心」が価値であり、お金はその価値の一部を変換したものに過ぎない、とのことでした。
資本主義システムの中では、決算書の数字が重要視されますが、価値主義的尺度からすると、数字で表現できない部分(先の例でいうとファン数)がでてくるわけですね。
実際はより詳細に記述されているのですが、とにかく佐藤社長の解説、素直に頷いてしまいました笑
現代においては、価値保存手段が多様化しており、その価値媒体の1つが昨今話題になる仮想通貨。
また、佐藤社長は、それぞれの価値媒体において、独自の経済圏を創造することについても言及されています。
経済圏の要件については5つ、本書で紹介されていますので、ぜひ御一読を。
さて、先程から「価値」というワードを多用していますが、そもそも「価値」とは?
本書では大きく3つにカテゴライズされています。
そのうちの1つに、「内面的な価値」を挙げられています。本書の言葉を借りると「愛情・共感・興奮・信頼など、実生活に役に立つわけではないけれど、その個人の内面にとってポジティブな効果を及ぼす時に、価値があるという表現を使います」とのこと。
今後はテクノロジーの発展によって、そういった、今までお金に変換できなかったものが変換できるようになる。
だから、お金(資本)を増やすことにに主眼を置くのではなく、自分の価値を高めることが大切だと述べられています。
では、どうやって自分の価値を見つけるのか?
他人に伝えられるほどの熱量を持って取り組めることを探すこと
これが大事とのこと。
その人だからこそだせるオリジナリティというのが、今後価値を生んでいくようです。
読んでいて私は、ますます「個」の時代になっていっているな、という感想を持ちました。
良くも悪くも、個人で価値を提供できるツールが揃ってきている。今までは、「会社」という共同体を通して価値提供していたものが、これからは個人でできる部分もでてくる。会社はあくまでも「価値提供のツールの1つ」に過ぎない存在。
これはある意味で、チャンスであり、誰にでも可能性が広がることを意味します。
しかし、そこで大事なことは、佐藤社長がおっしゃるように
いかに他人に熱量をもって伝えられることをみつけるか
にかかっています。誰がなんと言おうと、自分の信念をもって情熱を注げるものを伝えていけるかどうか。
誰しもがもっているようで、
「じゃあ、自分の価値って?」となってしまいそうですが、とにかく、オリジナリティが価値を生む時代。きっと、今までの人生の中で、自分にしか出せない価値というものはあるはず。
それを、今後価値として変換できるかどうかはそれぞれだろうけど、テクノロジーの進歩がそれを補完しつつある。
なんだかすごい世の中になるなぁ。
長らく続いた資本主義からのパラダイムシフト。もしかしたら、私達はそういった世の中の大きな転換期を生きているのかもしれませんね。
この本、是非ご一読されてみてください^ ^