テクノロジーの進化と「人間らしさ」
備忘録
「デジタルゴールド ビットコイン、その知られざる物語」ナサニエル・ポッパー著
正体不明の人物サトシ・ナカモトによって発表されたビットコイン。ブロックチェーンという革新的技術を有し、現在では世界各国首脳も話題にするほどとなりました。
では、どうやってここまで広がったのか?
本書はビットコイン誕生からの5年間を支えてきた人々の姿を描いています。
私の感想は、本書を翻訳された土方奈美氏が完璧に代弁してくれています。
「ビットコインを無味乾燥な技術ではなく血の通った人間ドラマとして描き出しており」(本書457〜458ページ)
「著者が『孤独な天才が新たな世界を創りあげて一攫千金を果たすという、ありきたりのベンチャー物語とは違う』と言うとおり、本書はさまざまな理想や思惑からビットコインの世界に身を投じた人々の群像劇である」(本書458ページ)
どんなサービスや発明にも、人間のリアリティがあることを改めて再認識した一冊でした。
AIやテクノロジーの発展。
私の中のイメージからすると「完璧」「法則」「カテゴライズ」「理論値」など、感情とは無縁な感じ。
そういった革新的テクノロジーによって、今後ますます社会は高度化していくのかもしれません。
しかし、そのような社会だからこそ、私達は思いやりや感謝など「人間らしさ」をより一層大切にしていくことが重要であると思います。
先進的な社会の到来。
AIが理論や統計上完璧な提案をしてくれる世の中がくるかもしれない。
しかし、常にそんな「機械的」な判断ばかりするようになれば、それこそ無味乾燥の未来です。
もちろんビジネスにおいてはそういった革新がある程度期待されるでしょう。
しかし、我々は人間です。理論では語れない非合理的な動きもします。
それは、様々な感情を有しているからです。
そういった感情を「効率的」に排除していくことが良い面もあれば悪い面もある。
つまり、AIなどの先進テクノロジーが全能ではないことをしっかり理解した上で、活用していくことが重要であると思います。
本書を読みながら、テクノロジーの急激な発展を肌で感じるとともに、そういった「人間らしさの重要性」について強く認識させられました。